《No.3》
ケアマネになりたかった理由


平成14年8月号

《MEMO》

どうしてケアマネを志したのか、書けといわれて書いたけど‥‥。
文章が何だか理屈っぽいや、ネ。
「大変だ」「きつい」ケアマネの口からこれらの言葉が発せられない日はない(断言)!寄るとさわると、大変だった話、本日の困難ケース披露のような雰囲気になってしまう(気がする)。鼻唄まじりにやってのける人は、きっと一握りだろう。

そんなに大変なら、何でケアマネになろうなんて考えたの?まあ、当然の疑問ですね。
以前、私はくすりの相談室と称して医療関係者や一般の方から薬に関する相談や質問を受ける仕事をしていた。薬の副作用や飲み合わせ、不安に感じていることなどに答える役目だ

ある女性から、「私の飲んでいる薬を調べて欲しい」という依頼を受けた。前に通っていた病院が家から遠いので近くに変えようと思うのだが、そこの医師に今までと同じ薬は出せないと言われたので困っている、何の薬なのか、どうして断られたのかというものだった。錠剤に刻印されている記号を聞いて、ピンと来た。案の定、抗癌剤だった。本人が自分の病気についてどれだけ理解しているのか、慎重に、慎重に聞き出してみた。何年か前に婦人科の手術を受けたが、病名は分からない。家族は何も言わないし、本人はうすうす癌を疑っていてもハッキリと告知されていないようだった。再発予防のための定期受診と服薬が必要であり、近所の内科医が専門外の治療を断るのは妥当と言えた。

彼女は、寝たきりの夫を介護していた。通院のためとはいえ半日も家を空けることは出来ない状況であった。「公的介護保険」という単語がマスコミに出始め、介護される側より介護する側の方が先に参ってしまう、家族介護の限界が取り沙汰されるようになって来た頃の話である。絶句した。無力だった。知らないことが多すぎた。

同じ頃、薬剤師が在宅訪問し服薬指導で成果を上げているという報告が薬剤師向けの雑誌で取り上げられることが多くなっていた。高齢者が増えてきた、施設は待機者でいっぱい、社会的入院もこれ以上増やせない、医療保険は破綻寸前、さあ、介護保険が始まるぞー。大号令が私を突き動かした。厚生省はケアマネージャーという新しい職種を作って、介護を指揮させようとしている。薬剤師もケアマネージャーになれるそうだ。私にも出来ることがきっとあるはず。受験間際には、ケアマネの資格があると就職に有利だとか、引き抜きがあるに違いないとか、いろんな噂が流れた。介護=ビジネスチャンス、新しい儲け話に、様々な業界の関心が集まった。

当初から「大変だけれど、やり甲斐のある仕事」との認識はあった。事実ケアマネの経験は、お金に換えられない私だけの宝物になった。大変さの度合いが、だめ×2ケアマネの予想を越えていただけの話。
ケアマネの有資格者は、全国で23万人。県内2,532人。実際にケアマネとして働いている人は半数以下。これが、現実。
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