《No.10》
帰省介護は体力勝負


平成17年3月号



《MEMO》

ドキドキの要介護認定。母に安心して過ごしてもらいたい。でも、希望通りの施設はなかなか空きがでないのだ。
もどかしい。
実家の母が入院した。体調不良の原因は、まだ判らない。直ちに要介護認定の申請をしたが、結果はすぐには出ない。

普段、遠く離れて暮らしているのであれこれと余計なことを考える。ときどきしか顔を出さない娘が介護の現場をかき回すのは良くある話。私なりに「遠慮がちに」「控え目に」状況を探る。帰省したときにはできるだけご近所回りをして、地域にも顔を売るようにした。30年振りに再会したおばさんもいた。これから先、どんなことでお世話になるかもしれない。迷惑をかけるかもしれない。介護保険の制度を利用するだけで母の生活を100%支えることは、どう考えたって不可能である。

弟と一緒に、今後のことについて母の意向を聞くことにした。無理強いになってはいけない。言葉を選びゆっくりゆっくり確認する。体調が戻ったにしてもすぐに家に戻るのは無理、一人で一日過ごす自信がないと母は言う。常にスタッフがいる施設か、病院であれば安心して過ごせるのかと問うと、苦しい顔でうなずいた。数年前まで、介護の職に就いていた母である。自分が逆に介護される立場で耐えられるだろうか。
「本当に構わない?」

本人の了解を得て、弟が老人保健施設の予約をすることになった。財産がいっぱいあれば有料老人ホームという選択肢もあるが、つめに灯をともす年金暮らしである。介護保険施設の順番待ちに加わることにした。

さて、ここで大きな問題。要介護認定の結果が要介護1以上とならないと、老人保健施設、特別養護老人ホーム、もしくはグループホームに入所(入居)することはできない。要支援または非該当と認定されたら、諦めて次の病院を探さねばならない。いずれにしてもどこも混んでいる。最近急増中のグループホームは、認知症(痴呆)があれば比較的入り易いとのこと。「認知症」の言葉の響きに、複雑な気持ちになる。私の前ではまともな受け答えをしていても、「実は、‥‥」ということがあるかもしれない。その後の検査で認知症ではないと分かり安堵する反面、一つの道が絶たれたことにガッカリする。

一カ月経って、母が要介護1に認定されたと連絡があった。
実家は北海道、帰省はもっぱら空路なのでお金がかかる。格安航空券の入手も段々慣れてきた。10日前の予約ならば正規料金のほぼ半額で往復できる。その上、ホテル付なのでパジャマもハブラシも持参する必要がない。難点は、予約の変更ができないこと。日本航空(JAL)には、当日予約もできる介護帰省割引というサービスがある。事前登録すれば約4割引で利用できるのでありがたい。介護のためにJRでなく安価な高速バスを利用する人も多いという。それもこれも庶民の知恵。

あの記録的な大雪の日、山形を通り越して羽田空港に運ばれてしまった。東京経由の長旅。介護帰省は体力勝負なのだ。
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