《No.12》
どっちを選ぶ?


平成17年5月号



《MEMO》

薬なんて、所詮身体にとっては異物。付き合うくらいの心構えでいいのに。
おっと、重症の場合はそうもいかないか。
予想通り、今年はスギ花粉が大量に飛んだ。くしゃみ、鼻水、眼のかゆみ。ついに私も花粉症デビューしてしまった。鼻がつまって息ができない。つらい。薬局の窓口で鼻水タラーッてのも格好悪いし、まいったなあ。そういえば、抗アレルギー剤の製剤見本があったはず、薬局ってこういうとき便利なのよね。スタッフにも勧め、さっそく飲んでみる。

「どうよ?」
「なんだか、鼻がスッキリしてイイ感じ。」
「ホント、ホント。効く〜。」
一時間後。鼻水はピッタリ止まって快適なまま。でも、何となく眠いというか、身体がだるい。トイレも近い気がする。まさしく副作用。ちぇっ、全然出ない人もいるのに、残念。

「これ、どれくらい続くの?」
「う〜ん、この薬なら最低でも4〜5時間は辛抱かなあ。」
 一応、薬剤師なのでそういうことは見当がつく。時間が経てば薬の効果が薄れ、花粉症の症状がまた出現するだろう。同時に、副作用もおさまるはずだ。

薬は、どれくらいの人に効いて、どういう副作用が何%くらいの人に現れるという有効性や安全性の科学的データが一通り揃って認可される。後から判明した有害な作用の情報も次々と追加される。メリット、デメリットが割とハッキリしているのである。ちなみに、いわゆる健康食品が「××に効く」などと効能を宣伝すると薬事法違反になる。法に触れないように、△△新聞とか▲▲通信という体裁で、私は○○で病気が治った、こんなに良くなったという体験談を載せるのだ。良くなった人の話を否定するつもりは全然ないけど、ちっとも効かなかった、かえって具合が悪くなったという話が一向に聞こえてこないのは不思議だと思いませんか。

 カウンターに整腸剤を叩きつけ、怒りだす患者さん。
「こんなの、いらないって言ったんだ。全然効き目ないから、飲んでないんだ。」
 薬歴(薬の記録)を見ると、3日前に同じ整腸剤を渡している。効かないから、飲まない?ちょっと待って。それは、もしかしたら、飲まないから効かないのでは。薬に対する認識の違いに戸惑う。服用してすぐ効果が得られると期待していたのかも。効くまでに時間がかかるものもある。説明不足を反省。

病気やケガでいったんダメージを受けた身体を、ここまで治したいとか、いつまでに治したいという目標、ゴール(到達点)をどこに定めるか、それによっても対応は変わってくる。ゴールを決めるのはもちろん本人。魔法のようにすっかり元通りにとはいかない場合もある。不自由な何かを我慢しなければならなかったり、状況によっては、現状維持がせいぜいということだってあり得る。どこかで折り合いをつけなければならない。

花粉症が治らない。鼻水地獄か、倦怠感。さあて、どっちをとるか。どちらのデメリットなら引き受けられるか。
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