《No.4》
お盆休みの巻


平成16年9月号



《MEMO》

ちょっぴり脱線。
うっふっふ(^^ゞ
実家の事件とほとんど同じ時間帯で、ご近所に似た風貌の人が来ていたことが判明。狙いを定めたご町内が根こそぎって訳。
ちょっと呆けたおじいちゃんの家には、「やあやあ久し振りだな、元気だったか?」と訪ねてきたそうだ。
微妙に手口を変えているというのも、ちょっと。
―薬屋さん、お盆休みの巻―

「ダマされた〜。くやし〜い」
実家に帰省中のこと、母が寸借詐欺(すんしゃくさぎ)に遭っちゃった。いやはや。

夜8時。私が近所のスーパーへ買い物に出かけた、ホンのちょっとの間の出来事。見知らぬ紳士が玄関口に立っていたそうだ。いつもはしっかりと施錠しているのに、すぐに戻るつもりで鍵をかけなかった私が悪い。

「お向かいのTさんはご存知ですか?2時間ばかり待っているけど、まだ戻らないようで」
Tさん宅は私の親友Rちゃんの実家。今は、妹夫婦がご両親と一緒に暮らしている。カーテン越しに様子をうかがうと、今日に限って灯りが消えている。
「いつもはいらっしゃるのに」
「車が故障してしまって、戻るに戻れなくて」
Tさんの親戚と名乗るその人は、○○市の自宅まで戻るのにタクシー代と電車賃、3千円を貸して欲しいと言ってきた。
「住所と電話番号を書いておきます。お金は明日届けます。もし都合で来られない時は、Tに連絡して届けさせますから」

 Tさんは、町内の役員を長年務めていて地域の信望も厚い。昔からのつき合いもある。母は、お金を渡してしまった。
「さっき、Rちゃんの親戚のおじさんが来てね‥‥」
 買い物から戻った私に母が言った。
「○○市に住んでいるって、知ってる?」
「知らなーい。その話、何だか変。まさか‥‥」
しばし、沈黙。
「電話かけてみようか、ココ」
メモに書かれた電話番号はデタラメで、住所も架空のものだった。何かの間違いかも。念のため、東京のRちゃんに確認。
「お久し振り。元気?実は‥‥」
 そうこうするうち、Tさんが帰宅した。事情を話すと、そんな親戚はいないとのこと。

「やられたー」
「だいたい、遠くから来るのにお金を持たないだなんて」
「巧妙。Tさんの名を語って」
「10件成功すれば、3万円か。許せん。警察に届けよう」
 被害届を出しに警察署に行く。目をランランと輝かせて、子どもたちまでついてきた。

「おばあちゃん、おばあちゃん」
ヒゲ面の若い刑事さんが教え諭すように何度も呼びかける。
「オレオレ詐欺とか流行っているから気をつけないと。簡単にドアを開けてはダメだよ。今は外の様子が見えるインターホンとか便利なものもあるから」
「モニターもつけて、セコムも入れて用心して、それでもやられたんです」

 お金を落とした方がまだましだった。それ以上に年寄り扱いがショックだったと、後で母が苦笑しながら言った。
 犯人は、身なりの良い上品な顔立ちの人だったそうだ。何かの後遺症か、左手が不自由なようで少し尿臭がしたと。こうやって齢を重ねる人もいるのだ。
私たちは、そういう老いも受け容れなければならない?
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