《No.8》
口コミ情報


平成17年1月号



《MEMO》

口コミは恐い。良い話も悪い噂も「無責任な」説得力を持っちゃうんだなあ。
年に一度の定期健康診断が終わった。年齢とともに検査項目が増えてきて、正直わずらわしい。病気は、予防と早期発見が大切と理解しているつもりだけれど、毎回異状の報告もなく、健康なのでそう感じるのかも。○○オーバー以外はネ。

今回も、バリウムを飲んだ。甘さ控えめ、味はさっぱり系なのに、ドロリと喉を通り過ぎるこの感覚、やっぱりオエーッ。飲んだバリウムがすっかり身体から出ていくまで、不快な感じがずっと続く。

そう言えば、私のバリウム・デビューは16才。病気で長期入院していたときだった。当時の病室は8人部屋、超!年輩者の中に若者一人でポツンと置かれ、不安とストレス、薬の副作用であっという間に胃潰瘍になっちゃったのだ。バリウム検査の前に、同室のおばあちゃん達がいろいろ教えてくれた。
「簡単だから、心配いらない」
「便秘して詰まると、大変」
「‥‥夜中に、出たモノを見ると、白く光るってよ」

えっ、光るって本当?中学校の理科で習ったとき、バリウムが光るとは一度も聞いたことがなかった。見てみたい。もよおすモノをこらえ、夜を待つ。皆が寝静まった頃を見計らってトイレに向かう。寒く、暗い廊下。スリッパの足音が響かないように、ゆっくり歩く。期待で胸がドキドキする。

「あれ、光らない。変だなあ」
ガッカリ。からかわれたのかしら。ううん、非常灯に照らされて、おばあちゃんには、きっと光って見えたに違いない。いまだにそう信じている、変な思い出。

患者さん同士のやりとり、情報交換はさまざまで、医療に携わる立場となった今、戸惑わされる事がしばしばある。

「オカザキさん。これ、オシッコが近いのを治す薬だが?」
薬局の窓口で話をしているとき、唐突に差し出された薬は、一目見て睡眠導入剤(寝つきを良くする薬)と分かった。
「これ、どうしたの?」
「もらったんだ」
オシッコが近くて、夜中に何度もトイレに目を覚ますことを友人に話したらこの薬をくれたというのだ。あらあら。
「それで、飲んでみたの?」
「いいや、まだ。聞いてみてからと思って」

困ったなあ。睡眠不足で体調を崩した友を気遣っての厚意。頭ごなしにダメと言うのは気が引ける。この薬には『ぐっすり眠ること』はできても『オシッコの近いのを改善する効果』はないと説明すると、飲まずにそのまま取っておくことに落ち着いた。ひとまず、ほっ。

自分に効いたからといって、他人にも効くとは限らない。自分にとって安全でも、他人にも安全とは言い切れない。でも、身近な人の言うことには妙な説得力があって、良くも悪くもそのまま受け入れてしまうケースが多い。私だって、みのもんたに面と向かって『なんとか健康法』を説かれたら‥‥。
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